不妊症

吉本英生先生

みなさん、お久しぶりです。年明けから忙しくしており、年末の皆様のランキングにお答えするのが遅くなりました。今回はその中から「不妊症治療」を取り上げてみたいと思います。ただ、不妊症治療を語るには、不妊症についてある程度ご理解して頂かないと難しいので、今回は「不妊症」というタイトルでお話します。

まずは不妊症とは?一応、世界産婦人科連合というところの定義が有名なのですが、「生殖期に達した男女が結婚後正常な性生活を送り、特別な避妊をすることなく2年経過しても妊娠しない場合」とされています。しかし日本生殖医療学会(数年前までの不妊学会です)の生殖医療ガイドライン2007を調べてみると、定義についてはまったく触れられておりません。実際、最近では結婚までの年数が長い方もおられるので、細かい定義を考えることは少なくなっており、皆さんの「妊娠したい」という希望があれば不妊治療が始まるというのが現状だと思います。

外来で皆さんとお話していると、妊娠しても流産してしまう不育症と混同してしまっている方がおられます。不妊症はあくまでも妊娠しない病態であることを再確認して、これからのお話を読んでください。

一般的に不妊症の夫婦の頻度は約10組に1組と報告されています。平成9年に厚生省が行った調査では、男性因子が25.9%、女性因子が65.3%(これらの方の約12%が男女ともに原因がありました)、機能性不妊(原因不明不妊)が21.5%であったと報告されています。これらの原因の詳細を先の生殖医療ガイドライン2007の目次に沿って、少しでも見やすいように表のような形で説明していきます。

  • 排卵因子
    • 視床下部・下垂体性排卵障害:脳からのホルモン分泌の障害です。
    • 卵巣性排卵障害:ホルモンに対する卵巣の感受性の障害です。
    • 乳汁漏出症:乳汁を産生するプロラクチンというホルモンが異常分泌された状態です。
    • 多嚢胞性卵巣症候群:様々な原因により卵巣に沢山の卵胞が存在し、ホルモンの異常が起こった状態です。
    • 黄体機能不全:卵巣内の黄体からのホルモンの分泌の障害です。
  • 卵管因子
    • 卵管閉塞・卵管周囲癒着:卵管内もしくは卵管周囲の病変によって起こった卵管の通過障害です。卵子が子宮までたどり着けません。
    • 子宮内膜症:卵管周囲癒着の原因となるほかに、内膜症の細胞自体が妊娠を妨げているといわれています。
    • クラミジア感染症:性行為感染する病気で、卵管閉塞・卵管周囲癒着の原因となります。
  • 着床因子
    • 子宮因子:子宮筋腫などの理由で子宮の中の形が歪になり、受精卵が子宮内に着床するのを妨げます。
    • 免疫因子:女性の自分自身の免疫が、着床の邪魔をすることがあります。
  • 男性因子
    • 精巣機能障害:精巣の異常またはホルモンの異常で精子を産生できない状態です。
    • 精索静脈瘤:陰嚢内の血管の異常が原因で、精子の産生障害が起こります。
    • 閉塞性無精子症:精子の通り道の閉塞により射精ができない状態です。
    • 非閉塞性無精子症:閉塞がないにも関わらず、産生された精子が射精されない状態です。
    • 乏精子症:精子の濃度が薄い状態です。
    • 勃起障害・射精障害:性交時に有効な勃起が得られないために満足な性交が行えない状態が勃起障害で、勃起には問題ないが精液の射出がない状態が射精障害です。
    • 特発性男性不妊症:原因不明の精子の産生障害または原因不明の精子の機能障害です。
  • 免疫因子:精子や卵子に対する免疫が成立して、妊娠の邪魔をする状態です。
  • 原因不明

 みなさん分かりましたか?出来るだけ分かりやすく書いたつもりですが、かなり難しかったのではないでしょうか?この分野が産婦人科の中でも特に専門的に行われる理由の一つがこの難しさだと思っています。これだけの事を書きましたが、私が個人的にみなさんに分かっていただきたい事は、不妊症には沢山の原因があって皆が同じ状態ではない事、実は原因不明の方が20%もおられる事の二つです。
それでは「不妊治療」も早い時期に書くように努力します。みなさんのご意見をお待ちしています。



 
4個のコメント
ID:41 2010年 2月 16日10:15 AM コメント者:せよぽん母

私は一人目はすぐに授かりましたが、二人目が欲しいと思って約二年くらいはなかなか妊娠せずにとても落ち込んでいました。一人目はすぐに授かっているために、どこかに余裕もあった反面、信じたくないと言う気持ちもあり、なかなか病院に行く勇気が出ませんでした。でも悩めば悩むほど、自分の体調も崩れ、気持ちも落ち込むしで、勇気を振り絞って婦人科に行ってみました。そこでは、すぐに排卵のタイミングや、相手の状態など、淡々と検査が行われ、今思えば、知らなくてよかったことまで知ったような気がします。妊娠は女性にとってとてもデリケートになる部分でもあり、もし自分に何か原因があったらと考えると本当にパニックなるくらいだと思います。私は段々とそのことばかりに集中して、気は滅入るし体調はなおさら崩れるしで、病院に通うことを一旦やめました。しばらくして、済生会の吉本先生の噂を聞き、一人目も済生会で出産していることもあり、気持ち新たに行くことにしました。その時、私のあの時のもやもやを一瞬にして解消してくださったのは吉本先生でした。何年ものもやもやを一瞬にして(*^□^*)すべのことを素人の私に分かりやすく噛み砕いて説明してくださり、何とでもしてあげますから、心配しないでね(*^□^*)!って、ほんとに神様仏様に見えました。とても明るい気持ちになり、やっと希望の光が見えてきたような瞬間でした。妊娠できなかった原因はこれと言って見つからず、特に治療はなかったのですが、タイミング療法から半年後、待望の第二子を授かりました。きっと小心者で心配性の私には、その言い切ってくださった言葉が一番の治療だったように思います。先生も、おめでとうございます!とすごいニコニコで言ってくださって、ほんとに嬉しかったです。私みたいにもやもやが原因で、途方に暮れた状況でなかなか妊娠にたどり着けない人もたくさんおられるような気がします。思いきって自分に合った先生探しをしてほしいなと心底思っています。私は吉本先生に出会わなければ、まだ授かっていないかもしれないです。今子育てに明け暮れながらも、その感謝は一生忘れてはならないと、心に誓っています。本当に本当にありがとうございました(●^ー^●)これからも、たくさんの女性の味方でいらしてくださいねっ☆

ID:33 2008年 3月 29日11:08 PM コメント者:kazu

私自身、1人目と2人目の間に数回流産し、不育症治療を行いました。不妊症については、色々な本があり、情報も沢山ありましたが、不育症については、ほとんど情報がありませんでした。
また、不育症自体、不妊症ほど認知度がなく、周りに聞いても知らない人がほとんどでした。
どうして流産を繰り返すのかわからず、周りから「無茶したからじゃない」という事を言われて傷つき、自分を責めたこともありました。
子供ができないのは一緒なのに、何故こんなに差があるのでしょうか?
不妊症も大変ですが、不育症への理解ももう少し進んで欲しいです。

ID:30 2008年 2月 25日10:01 PM コメント者:がーこ

私も1人目がなかなかできず、流産も経験しました。でも2人の女の子に恵まれました。
周りのお友達でも、中々出来なくて悩んでいる方が結構多いです。これを読んで、原因ていろいろあるのだということがわかりました。でも女のほうに原因があるみたいに言う人がおおいですよね。周りの人の無神経な発言にどれだけ傷つくか・・・誰にでも授かるものではない、1つの奇跡の元に生まれてきてることをことをいつの間にかみんな忘れてるんですよね。
もっといろんなところで、不妊への理解が進むことを願っています。

ID:29 2008年 2月 25日7:50 PM コメント者:ゆあハハ

不妊ってたくさんあって難しいですね。私の姉も不妊でしたが3人の子供に恵まれました。不妊の治療をせずに2人の子供が授かり2番目の子供の時だけ治療しなが授かったそうです。私も1人目はすぐにできたのですが2人目はなかなかできず諦めたころ授かりました。その2人目のとき切迫早産になり吉本先生にとてもお世話になりました。その後、小さいながらもそれなりに大きくなりもうすぐ小学2年生になります。肺炎になって入院したり頭にケガしたりで、大変なこともあったけど今はとても元気で、かわいい女の子になりました。いろいろありがとうございました。






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